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2018年11月 6日 (火)

ORIENT EXPRESS'88に寄せて

 生存報告を兼ねて、久々の書き込みです。なんせ、このところ、国内の鉄道は撮影していないか、メンバーの誰かと一緒の撮影でしたから・・・。

 検査掛さんから1988年に運行されたオリエント急行の画像が載せられました。この列車は、当時から欧州の鉄道に関心を持っていた駅長を痛く刺激し、時間の許す限り、撮影に行きました。さすがに、北海道や最後に上野駅を発車する蒸機牽引のオリエント急行までは撮影に行っていませんが・・・。もう、あれから30年になるのですね。

 このオリエント急行の車両を保有していたイントラフルーク社は、その後、経営の悪化により車両を売却してしまいました。この中のプルマン塗装車、No.4158は再び来日して、箱根のラリック美術館に保存されています。

 さて、ご存じのように、現在、知られているオリエント急行は、1970年代までイスタンブールまで運行していたオリエント急行とは無関係で、オリエント急行など欧州の寝台列車で使用されていたワゴン・リ社の豪華寝台車Lxを使った観光列車です。この観光列車には、かつては日本に来たイントラフルーク社とアメリカ資本のシーコンテナ社(後のオリエント・エクスプレス・ホテルズ→ベルモンド)が運行しているヴェニス・シンプロン・オリエント・エクスプレス(VSOE)がありました。しかし、イントラフルーク社は車両を売却してしまったので、現在、定期的に運行しているオリエント急行は、VSOEだけです。

 日本にやってきたオリエント急行の車両とVSOEの車両は、同じワゴン・リのLxですが、大きな違いがあります。それは車両の綺麗さで、イントラフルークの車両がほとんど手を入れていないのに対して、VSOEの客車は徹底的に再整備され、外から見る深いブルーの塗装の美しさはお召し列車やななつ星に匹敵するものがあります。

 VSOEは1982年に運行を開始しました。基本的な運行は、英国からの列車を受けるカレー~パリ(東)~バーゼル~ヴェローナ~ヴェネツィア間の往復で、時にはイスタンブール、ベルリン、プラハ、ブダペストに足を伸ばすこともあります。このヴェネツィア行きのルートですが、バーゼルからチューリヒを経てアールベルク峠を越えインスブルックに入り、ここで進行方向が変わり、ブレンナー峠を越えてヴェローナに向かうことになっています。VSOEのHPにもそのように記されていますし、Wikipediaのオリエント急行を見ても、そのように書かれています。

 ところが、これが違っているのですね。実際の運行は、パリ発のヴェニス行きはバーゼルからアルト・ゴルダウを経てゴッタルド峠を越えてイタリアに入り、ミラノを経由してヴェローナに向かっているのです。しかも、ゴッタルド越えは、2016年12月に長大なベーストンネルの新線に運行が切り替えられた後も、いくつものループ線があって景色も素晴らしい旧線経由なのです。

 このゴッダルドを越えるVSOEの存在を知らしめたのは、某誌に載ったゴッダルドを越えるVSOEの数々の写真でした。特にヴァッセンの3段Ωを登るVSOEが3本写った合成写真には驚かされました。その少し前から、駅長にもVSOEがゴッタルドを越えている、との話が聞こえてきて、機会があれば撮影したいと思っていました。

 そのチャンスは、2017年秋に訪れました。この時、ゴッダルドを越える蒸機列車が運転されたので、それにあわせてVSOEを撮影しました。

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 ヴァッセンのお立ち台、3段Ωの最上段を走るVSOE。残念ながら10月では山影に入ってしまって、晴れているのに陽があたりませんでした。

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 ヴァッセンのもうひとつのお立ち台、3段Ωの最下段を走るVSOE。残念ながら天候は雨ですが、この位置、山間で陽が当たる時期が限られる上、晴れると側面が陰りますので、曇ったときに撮る必要があります。ゴッタルド峠で17両のフル編成が撮れるのは、ここくらいでしょう。

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 ゴッタルド越の基地があるエルストフェルト付近のお立ち台、通称、教会バックです。ここは雰囲気の良い場所ですが、編成が少ししか入らない上に、肝心な場所に木の影がでて、なんとも撮りづらい場所です。山を重視で撮った構図ですが、もう少し編成重視で、引き寄せて撮った方が良かったかな。

 VSOEの成功により、豪華観光列車は商売になることが証明されたことから世界各地で運行されており、その影響は日本にまで及んでいることはご存じの通りです。しかし、歴史に裏付けられた列車の風格や格調、それによる存在感は、オリエント急行にかなうものはありません。美しい風景の中に深いブルーに輝く編成は、まさに走る芸術品という言葉が相応しく思えてきます。また、重連の機関車が牽く17両という長編成の客車列車は、日本ではもはや見られず、被写体としても魅力があります。値段がとんでもなく高いので、実際に乗ることはかなわないでしょうが、機会があれば、また、スイスの美しい風景の中で、カメラに収めたいところです。(駅長)

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コメント

ヨーロッパではこの手の列車が現役とは驚きです。後世に伝えなければならない素晴らしい車両達なので、末永い運行を祈るばかりです。これが撮影できる環境にある駅長様が羨ましいです。写真を拝見して、スイスの風光明媚な風景にベストマッチな列車だと思いました。(電車運転士)

投稿: 電車運転士 | 2018年11月 7日 (水) 15時20分

オリエント急行に関する逸話、ありがとうございました。列車の背景にあるエピソードを知っていたら、また違った価値観で列車を見ていたかもしれません。単にカメラを持ってはしゃぎまわるだけでは済まないほどの重みを感じます。熱田駅の展示には出かけましたが、敬意を表して隅々までもっとよく「見物」すればよかったなとあらためて思います。(出札掛)

投稿: 出札掛 | 2018年11月 7日 (水) 20時19分

早速、私のアップに応えて頂きありがとうございます。来日したイントラフルーク社の客車でも十分な見応えがあったのですから、VSOEはどれほどのものなのでしょうか。このほかにもヨーロッパでは歴史ある車両が数多く動態で保存され、本線運転も当たり前のように行われているのを見るにつけ、やはり産業遺産に対する姿勢の違いを思い知らされます。しかも鉄チャンが少なくて、撮影もし易いようで、羨ましい限りです。また、ヨーロッパに行ける機会は自分にはあるのでしょうか゚゚(´O`)°゚これとは別に駅長様のORIENT EXPRESS'88の作品を拝見したいものです。よろしくお願いします。(検査掛)

投稿: 検査掛 | 2018年11月 7日 (水) 23時33分

 ご覧になられたかどうかわかりませんが、お召しの1号編成やななつ星の車両が17両連なって走ると想像してください。如何に見応えがあるか、走る芸術品というのも理解いただけるのではないか、と思います。VSOEはシーズンには週2回走るので、これを狙っている人はごく少なく(ひょっとしたら、日本人鉄ちゃんの方が関心があるくらい?)、どこに行っても撮影者は同行するグループだけです。あの××列車で、脚立で場所取りなんか、やってられません。(^_^;) 蒸気機関車が牽くときもありますよぉ。ぜひ、機会をつくって撮影してください。(駅長)

投稿: 駅長 | 2018年11月 7日 (水) 23時59分

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