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2013年3月 7日 (木)

ニューヨークの鉄道 その2

 あまり関心を持って読んでいる読者は少ないと思うけれど、日本の鉄道の姿を正しく見るためには、日本以外の鉄道がどのように運行しているか、という知識も必要ではないかと思う。そこで、厚かましくもニューヨークの鉄道の続きを紹介したい。

 なお、もし万一、前回のニューヨークの地下鉄の紹介で、関心を持つ方がおられたら、下記の記事をご参照いただきたい。ニューヨークの地下鉄が、どのようにして変わっていったか、参考になる。本来は、こうした記事こそ鉄道雑誌に載せるべきかと思うのだけれど、読者も編集者も感心がないし、書き手もいないので載ることがないのが残念である。

http://www.mintetsu.or.jp/association/mintetsu/pdf/36_p22_25.pdf

また、ニューヨークの鉄道網の路線は、下記の図が参考になる。と、言っても、行ったことのない人にはピンと来ないかもしれないが・・・。 

http://www.urbanrail.net/am/nyrk/nyc-map.htm

 まずは、ニューヨークの東側からマンハッタンへの輸送を担うロング・アイランド鉄道である。東京で言うなら、中央線のような存在か。

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 非電化デーゼル路線としては編成が長いと思われた方もあるかもしれない。実は第三軌条集電の電車である。この列車は10両編成であるが、ラッシュ時にはそれより長い12両の編成が5分おきくらいに運転されている。ニューヨークのターミナルのペン・セントラル駅へはイーストリバーのトンネルをくぐる必要があり、その川底トンネル区間を含めて近郊区間は複々線となっている。自動車の国、アメリカで通勤鉄道はイメージしづらいだろうけれど、日本以上に高密度なニューヨークのマンハッタンを機能させるには、鉄道系の公共交通が不可欠なのである。

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 これはロング・アイランド鉄道でもっとも重要なターミナルであるジャマイカ。ロング・アイランドの各所からの路線がここに集まり、ニューヨークの2つのターミナルに向けて分かれていく。この駅は、日本からの飛行機が着くジョン・F・ケネディ国際空港への連絡駅で、ここから新交通システムのスカイトレインが運行している。マンハッタンからJFK空港へのもっとも便利で時間の短いルートであると思うのだけれど、なぜか地球の歩き方にはこのルートが紹介されていない。

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 そのニューヨーク側のターミナルは、マンハッタンにあるペン・セントラル駅とブルックリンのアトランチック・ターミナルである。このアトランチック・ターミナルはマンハッタンからはやや離れてはいるが、地下鉄の接続が便利で、行く場所によってはペン駅よりも便利かもしれない。大型の電車が次々とやってくるのは、壮観な眺めであるが、地下駅故、全貌が見られないのが残念である。

 ペン駅には、もうひとつ、ハドソン川を渡った対岸から、ニュージャージー・トランジットが乗り入れてきている。全米的に旅客鉄道を運行するアムトラックの路線と共用して運行されており、イメージ的には東海道線か。こちらも本数が多く、朝夕のペン駅は多くの通勤者でごったがえす。ペン駅構内には数多くの売店やファー ストフード店があり、まさに上野か東京駅状態である。

 ニュージャージー・トランジットは、その名の通り、ニューヨークとは別の州、すなわちハドソン川を渡った対岸のニュージャージー州を中心に運行している鉄道で、沿線は高級住宅地が多く、日本人の駐在員も多く住んでいるという。

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 これは少々前(1986年だから、少々ではないかもしれないが)に撮影したニュージャージートランジットの電車。今も、それほど変わっていない外観の電車がペン駅に乗り入れてきている。

 ニュージャージー・トランジットには、もうひとつターミナルがある。マンハッタンの対岸のホーボーケンで、デラウェア・ラッカワナ・アンド・ウェスタン鉄道ゆかりの、鉄道全盛時をしのばせる大きなターミナルが通勤列車の拠点となっている。ここからマンハッタンへは、フェリーとパス(PATH)と呼ばれる通勤鉄道が結んでいる。

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 これがPATH。9.11で崩壊したワールドトレードセンターの下と34丁目からニュージャージーの間を結んでいる。州をまたぐため、経営母体がニューヨークの地下鉄と異なるが、実質的には地下鉄路線である。(この写真も1986年の撮影)

 話は戻ってホーボーケン駅。昼間には10数番線あるホームに列車がずらりと並び、壮観な眺めである。これが夕方4時を過ぎると、5分間隔くらいで次々と列車が出ていくのである。

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 列車はこんな感じ。

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 路線は非電化のため、機関車の牽引である。

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 機関車は片側だけで、反対側の客車に運転台が付いているプッシュプル運転である。

 余談であるが、プッシュプルは片側だけに機関車があって、それが押したり牽いたりするからプッシュプルである。両端に機関車が付いて運転するのは、プッシュプルとはいわない。トップ・アンド・テイル(Top and teil)というはずである。言葉は正しく使いましょう。

 面白い、というか、不思議なのは、こうした通勤列車には、1両に1人、とはいわないけれど、1編成に数人の車掌が乗っていることである。駅には改札が無く、車内で運賃を収受するから車掌が多く必要なのは理解できる。しかし、これら列車は、朝、ニューヨークに来て、夕方、戻っていくだけで、昼間はほとんど運転されないか、運転されても編成が短いのである。となると、車掌の業務は1日1往復の乗務でおしまいで、昼間は仕事が無く、遊んでいることになる。これではなんとも非効率だと思うのだが、実際はどうなっているのだろうか? 

 このホーボーケンからはLRTの路線が出ている。これもニュージャージー・トランジットの路線である。ホーボーケンの北に数年前に開業した区間では、対岸にマンハッタンを望むことが出来る。

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  ニュージャージー・トランジットには3路線でLRTが走っているが、うち1路線はディーゼル車による運行で、電車で運行されているのは2路線である。歴史が古いのはニューアークを起点とするニューアーク・サブウェイで、1986年に訪れたときにはまだ名車PCCが現役であった。

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 はじめて見たときは、ちょうどラッシュ時だったこともあって、2~3分おきに次々と電車がやってきて、アメリカでもこんなに頻発運転がおこなわれているとは知らず、驚いたものだった。

 現在、この路線は路線が延長され、上記路線と同じ、近畿車輛製のLRVが運行されている。(駅長)

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コメント

アメリカは圧倒的クルマ社会、鉄道は影が薄いものという先入観がありましたが、ニューヨークは正反対に鉄道が市内・近郊輸送の主役ということがわかり、この認識は捨てなくてはならないようですね。(電車運転士)

投稿: 電車運転士 | 2013年3月 8日 (金) 13時20分

ニューヨークの地下鉄網、国内とは比較にならない充実さに驚いています。歴史と公共交通に対する考え方の違いがそれを物語っているのでしょうか。国内だけの鉄道事情に目を奪われると客観的な判断がにぶくなりそうですが、URLの記事を読んでみると、なるほど、と感じられます。今さらですが、学術的見地からもっと鉄道を見渡さないといけませんね。(出札掛)

投稿: 出札掛 | 2013年3月 8日 (金) 22時29分

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